【報告】CONEシンポジウム2024

「日本人にまともな感性を取り戻そう。」

子どもにとっても大人にとっても社会にとってはCONEの様な団体が必要だ。

岡島会長のあいさつで、【CONEシンポジウム2024】が開催されました。
CONEの歴史や、これからのあり方についてもお話されシンポジウムの意義について確認しました。

続いて、実行委員長の川嶋 直氏から、シンポジウムの目的と流れの説明があった後。

 

「子どもたちを元気にする『自然体験』を。」

もう一度自然体験の指導者養成をみなさんと一緒にやっていきたい。

と、国立青少年教育振興機構の古川理事長からのごあいさつで開会式を締めくくっていただきました。

国立の施設も自然体験活動の団体も、大きな課題は「お金」や「安全」など共通のものがあります。子どもための活動を進めて行くための協働をお話されました。

 


初日午前中は、「自然体験活動におけるリスクの全体像」をテーマに早川弁護士(早川総合法律事務所代表)から講演をいただきました。

早川弁護士が受け持った問題で、現状大きな問題となっているのは
「労働問題」。
ボランティア意識の大きい団体が多いのですが、コンプライアンスの意識が雇われる側に強化されてきています。組織の経営者が、労務管理をしっかり意識して対応する必要が出てきています。問題が起きてから弁護士に相談するのではなく、事前に対応していくことが大切だとお話されました。


「先生、うちのスタッフが逮捕されました。」

 

わいせつ問題は、突然やってきます。
判例や事例を通じてわかりやすく説明をいただきました。
法律が求め散る措置は、「声をあげやすい職場」にしていくこと。

セクハラは法律ではなく「人格の問題」
人としてどうあるべきかの問題なので、法律でなんとかしようとしても組織としては問題が解決しない。

この一言が組織の代表にとっては大切な部分だったと思います。
また、日本版DBSについてのお話もいただきました。しかし、DBSは再犯防止にはなるが、初犯が9割を超えるため、日本版DBSにはあまり期待出来ないという部分や、結果的に労務問題に繋がることも説明いただきました。

そして、今だ子どもの行動特性による事故も減っていないので、指導者は研修し対応する必要があるということ。
そのためにも、適正な対価を払える事業として「自然体験活動」を収益化して行って欲しいと、お話いただきました。
そのことは、子どもたちの未来にとっても必要なことであると、改めて感じさせる講演となりました。

講演後の質疑応答も、今後の対応につながる具体的な事例をお話をいただくことができました。


「女子だから〇〇しなくていいよ。」

この一言が、その子の可能性を奪っているかもしれない…。
この一言で、その子の自己肯定感が損なう結果となっているかもしれない…

 

午後のはじまりは「ジェンダー平等を意識した自然体験活動における指導者の役割」について、秋山 和沙さん(ガールスカウト日本連盟)から、ガールスカウトで実施されているジェンダー平等に関する研修や、教材についてお話しいただきました。
ジェンダーに関する女子中高生調査の結果を基に、現在の子どもたちが感じている実際の声のデータから、教師による性別による対応が無意識に生まれていることが分かりました。
実際に会場の参加者も、簡単なワークを体験し、無意識にジェンダーに対するイメージを持ってしまっていることや考え方の大切さを学びました。

人権の差別は無い方が良いが、無いと思ってすごしているとハラスメントが生まれる。
あると思って、どう言う風に学んで行くのか、どういう風に仕組みを作っていけばいいのか、
考えながら仕組みの見直しを考えていく必要がある。

この一言から、ジェンダー平等に対する取り組みの難しさと大切さを学ぶことができた思います。

「『めんどくさい団体』になってください!」

 

川北 秀人さん(IIHOE代表)からの講演は、事前の動画も含めてハラスメントへの対応を学ばせていただきました。

子どもや未来のための自然体験だからこそ、ハラスメント対応が不可欠です。
様々な団体によるハラスメント対応の事例を元に、今後の対応について考える時間となりました。
実際に事件を起こした団体の対応を体験すると、本当に大変なことがよく分かります。
そのための「訓練」をすることが大切だとお話されました。

訓練となるロールプレイを、会場の参加者で実際に体験してみました。

セクハラ被害が起こったときに、被害者の子ども役、相談を受けた人役に分かれて話しをしました。
大事なことは「最初の面談」で、何をどのように聞くか?
どのように対応するか、そしてその後団体としてどう対応していくかをロールプレイの後に話し合いました。これによって、被害者の気持ちに寄り添え安全を守ることの大切さや重要さが身にしみます。
こうしたロールプレイや研修をマメに行うことで、加害者となる人たちにとって「めんどくさい」団体となることが、事件を事前に防ぐことになるとお話されました。

また、日本版DBSへの対象希望やハラスメント防止に対する宣言を、各団体がしっかり行うことで社会全体で被害を防ぐことになります。
各団体や組織で、被害が起きないためにやるべきことを学んだ時間となりました。


パート2

「つながるCONE・繋がり直すCONE」

省庁の自然体験の取り組みから新たに見えること

各省庁から担当者の方々を招き、パネルディスカッションと分科会を行いました。

高木秀人さん(文部科学省 総合教育政策局 地域学習推進化 課長)
佐々木 真二郎さん(環境省 自然環境局 国立公園課国立公園利用推進室 室長)
中嶋 義全さん(国土交通省 港湾局 海洋・環境課港湾環境政策室 室長)
新屋 孝文さん(国土交通省 水管理・国土保全局河川環境課 河川環境調整官)
東 崇史さん(農林水産省 農村振興局 農村政策部都市農村交流課 農泊推進室 室長)
髙橋 久美子さん(こども家庭庁 成育局安全対策課 参事官補佐)
谷垣 佐智子さん(観光庁 観光地域振興部 観光資源課 自然資源活用推進室 室長)
諏訪 幹夫さん(林野庁 森林整備部 森林利用課山村振興・緑化推進室 室長)
劍崎 聖生さん(水産庁 漁港漁場整備部 計画課利用調整班担当課長補佐)

司会から質問を投げかけ、各省庁担当のみなさまにボードで答えてもらう形式で展開されました。
それぞれ省庁のアピールポイント、CONEと同繋がりたいかなど伺うことができました。

4つの部屋に分かれてそれぞれ興味のある省庁の所へ、ディスカッションを行いました。

 

【各部屋での内容】

文科・子ども
学校と自然体験活動団体の連携について:学校教育の部分でなく、コミュニティスクールなどの地域、自治体との共同による教育支援のシステムから自然体験活動との繋がりを作った方がよいのでは。
放課後児童クラブで自然体験:行政の後押しはあるか?子ども家庭庁の方針にあるため、それを元に各自治体にアピールして進めて行くのが良い。

環境・観光
環境省観光庁は近しい。ロングトレイルの話し広まっている。教育と観光の話し、インタープリテーション全体計画。国立公園の何を伝えるかの計画が作られている。
観光地域作りの話しにつながる、教育と観光とが同じと所をめざしている。
オーバーツーリズムや事業化、季節による偏り、質の対応や地域毎にやれることを考える工夫
地域作りをしていく。環境省適正利用をしていく。来て欲しいところに関わる

農林・林野
活動の幅がある話し:具体的に:事業内容やお金の使い道について具体的に聞けた。農山村危機的な状況ではある、高齢化、担い手不足、地域をどうやって作って行くか?木育、農泊などもう一度地域を元気にしていこうとしている。ぶっちゃけ横のつながり、こういう機会があってよかった。

港湾・河川・水産
海、川で活動するバックグランドにあるメンバー。
ゴミ問題、川と海は繋がっている。釣り問題、ゴミに繋がる点。
川と海と水産、繋がりなる事例ありますか?あまり事例も関わりもない。今後、良い事例があれば。

 

最後に、それぞれの省庁から思いを語っていただきました。

文科:「体験活動への理解を学校、家庭、地域に」我々も発信していくので、自然体験の有用性をもっと訴え続けて欲しい!共に。その上で、国立の施設を使ってください!

こども:「ありがとうございます」DBSなど知られてないことが多いので、知られていてうれしい。

環境:「豊かさ」ってなんだろうって考える機会が増えている。地域にお金を落とす、地域の人②ダメージがある、議論の方向性が幸福感に根っこがある。自然体験が人間らしさを回復するためのキーワードになっている。

観光:「一緒に」観光はインバウンドが来て、産業としてはキラキラしてきている。しかし、地域地域で悩んでいる人たちがいる、庁にいると現場と乖離してくるので、現場の悩みや観光を考える機会になる。これからも一緒につながっていきたい

港湾:海への関心を高めるため連携をよろしく

河川:川づくりのパートナー育成に期待:河川管理者だけでなく、地元の人地域NPOと一緒に作って行く。CONEの活動を通じて将来の指導者を育成していくことが重要。ひいては国交省のリクルートに!

農林:「都市と農村の交流」農村に人の賑わいを取り戻したい。一緒にやっていきましょう。

林野:「皆さんの力をかしてもらって、森と人とを近づけよー」人がいない。なので、そういう風に協力してくれる人たちがいるのがCONE。自然と人を近づける繋げる人が大切。皆さんお願いします。

水産:「海を楽しく海業」海と漁村の魅力でお魚を食べてもらう。自然体験と繋がっている。海業をお願いします。

行政の担当者の方々と充実した意見交換の時間となりました。
今後もこの繋がりを大切に、より発展させて行きたいと思います。

 

 

 


 

2日目

「今の時代における自然体験活動の役割」

 

 

青木 康太朗さん(國學院大學 人間開発学部 こども支援学科 教授
中澤 朋代さん(松本大学総合経営学部 非常勤講師/NPO法人日本エコツーリズムセンター共同代表理事)
田中 住幸さん(札幌大谷大学短期大学部 保育科 准教授/NPO法人あそベンチャースクール代表)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自然体験活動の現場を経験しつつ、大学で教鞭をとっておられるメンバーからの調査報告を聞きました。
ねらいは、 今の時代における自然体験活動の役割を検討するための材料を提供することとして。
これからを知る手がかりを得るために2つの調査を行われ、その結果を発表いただきました。

 

– 自然学校インタビュー調査

– 自然体験活動の現場から大学教員となった人へのアンケート調査

研究の成果データは以下のGoogleドライブの中にあります。↓
https://drive.google.com/drive/mobile/folders/1DxI6T1qBt_TSRX7kgXp6umNvaorc9399?usp=sharing

 

まとめとして、実践者と研究者がもっと交流を行い、CONEのネットワークを活用して連携していくことや、自然体験活動自体の認知度を高める必要があることが明確になりました。

今後も、CONE教員チームとの連携に期待を込めたいところです。

 


「これからの自然体験活動 これからのCONEを考えよう」

 

3つのテーマに分かれて分科会を行いました。

 

1)リスクマネジメント…(セッション1・2を受けて) 

2)つなぎ直し…(セッション3を受けて)

3)自然体験活動の役割を見つめ直す…(セッション4を受けて)